「 宮様と高松中学校の生い立ち 」

 11.第一回卒業式に高松宮殿下ご台臨
 

第一回卒業式に高松宮殿下ご台臨

  卒業式の思い出

 中学校の卒業式を覚えていますか。あれから二十数回卒業式に参列しました
が、あのような卒業式には一度も出会いません。おそらく日本全国どこにもな
い卒業式だったのではないでしょうか。
 緑に囲まれた校庭に紅白の幕を張りめぐらして式場が作られ、高松宮殿下の
ご臨席をいただいて、高松中学校第一回卒業式が厳粛に行われました。
 卒業式に宮様がおいでになることが決ってから、その準備がなかなか大変で
した。PTAの役員で元宮家に務められた方から「宮様がお車からおりられて、
控室までおいでになる道にジュータンか白い布を敷かなくてはならない。」また
「お茶は高杯にのせてお出ししなくては」ということで、当時は戦後数年たっ
てはいましたが、物資は未だ乏しい時代でしたからジュータンや白い布を敷く
など夢のようなことで、大変困りました。実際には白い布を敷いたか敷かなか
ったか、はっきり覚えていません。
 控室は二階の一番東側の三年生の教室だったと思います。高杯は父兄のどな
たかが持って来てくださって、お茶をお出ししたことは覚えています。
 (元教諭 佐野孝子)


  卒業式の当日

「卒業証書授与」という声に破られた。一組の一番から担任の先生に順々に名
前を呼ばれて元気に起立していく。六組の女子にかかる頃から足がこきざみに
ふるえてきた。それでも最後に「以上総代」と言われた時にはやっとふるえが
止った。
 優等生、区長賞、PTA会長賞、PTA連合長賞、高松会功労賞、三ヶ年
皆勤賞、一ヵ年皆勤賞とそれぞれの代表者が出て賞品、賞状をいただいた。
皆ちよっと恥しそうな、嬉しそうな顔をして自分の席にもどってくる。(後略)
 (一期生 本藤舜)