「 宮様と高松中学校の生い立ち 」

             5.戦後の教育に深いご関心の宮様

                                

戦後の教育に深いご関心の宮様

昭和二十四年六月一日、私は高松宮邸に伺候して、初代校長としての就任のごあいさつを申し上げると共に、本校の創設に当ってお示しになられたご厚意に対して、殿下に心からなる御礼を言上したのであります。 私のごあいさつが終るや、殿下はおもむろに敗戦後の教育に深いご関心をもって、御下間やら、御意見をお述べになられましたが、その要点は次の四項目におふれになられた記憶しています。
1、新制中学校が高等小学校の名前のおきかえであってはならない こと。
 2、優秀な教師の必要性について。
 3、上品な生徒を育成すること。
 4、義務教育である以上、知能的、環境的に種々雑多な生徒がいるはずであるが知能の低いもの、経済的悲境下の生徒への教育的対策について。
上の中の4、については特別深い御関心を、お持ちであられるように拝察されました。 私は本校の教育方針と職員組織についてご説明申しあげましたところ、おうなづきになられましたが、はたしてこの教育方針がよい実を結ぶかいなかを考えるとき重貴を感ぜざ るを得ないのであります。(初代枚長 長坂亨三氏二十六年記念号より)

 教育方針(二十六年学校要覧)
 上品で明朗且つ着実にして秩序ある家族的な学枚で、
視野の広い世界的文化人を育成することを目標とする。

○目標達成の重点
1、学校美化の徹底を期する。
2、正邪善悪、美醜を弁別する能力を養う。
3、自由を愛すると共に責任を重んずる。
4、スポーツによって心身を強健する。